政府税制調査会(翁百合会長)は5月15日に総会を開き、令和7年度税制改正法附則で明示的に検討を求めている各種控除の見直しのうち、物価の上昇等を踏まえた基礎控除等の額の適時の引上げの具体的な方策の議論を開始した。
 今年度税制改正の所得税法等一部改正法いおいて、附則第81条(所得税の抜本的な改革に係る措置)では、我が国の経済社会の構造変化を踏まえた人的控除をはじめとする各種控除の在り方の見直しを含む所得税の抜本的な改革について検討するよう明記。この検討に当たっては、基礎控除等が定額であることにより物価が上昇した場合に実質的な所得税の負担が増加するといった課題への対応について、源泉徴収義務者の事務負担への影響も勘案しつつ、物価の上昇等を踏まえて基礎控除等の額を適時に引き上げるという基本的方向性に基づいた具体的な方策を検討するよう求めている。
 法律による明示的な検討が求められる中、政府税調は具体的な方策についての議論を本格的に開始。物価上昇局面における税負担率や消費者物価指数(総合・基礎的支出)の推移を確認した上で、昨年11月に設置した3つの専門家会合の一つである「活力ある長寿社会に向けたライフコースに中立な税制に関する専門家会合」において、物価変動を判断する指標など具体的方策の検討素材となる論点整理を今後行っていくことを決めた。