国税庁がまとめた令和6年度(R6.4~7.3)の査察の概要によると、悪質な脱税者に対して行った査察調査で98件を検察庁に告発し、このうち消費税不正受還付事案は17件と過去10年間で最多となったことがわかった。
 同年度においては、特に、消費税事案、無申告事案、国際事案、社会的波及効果が高いと見込まれる事案を重点事案と捉え、151件(前年度154件)の査察調査に着手した。
 検察庁への告発の可否を最終的に判断した「処理」の件数は150件(同151件)で、このうち98件(同101件)を検察庁に告発した。告発率は65.3%(同66.9%)。
 査察事案に係る脱税の総額(加算税含む)は112億7,000万円で、1件当たりでは7,500万円。このうち検察庁への告発分は82億3,000万円で、1件当たり8,400万円だった。
 また 告発を行った査察事件の令和6年度中の一審判決は99件。その全てに有罪判決が言い渡され、そのうち13人に実刑判決が出され、輸出免税制度を悪用したものなど消費税法違反を含むものは7人だった。
 1件当たりの犯則税額は5,900万円、懲役月数は15.7月、罰金額は1,500万円。実刑判決のうち最も重かったのは、査察事件単独のもので懲役2年6月、他の犯罪と併合されたもので懲役9年(詐欺、詐欺幇助、所得税法違反の併合罪)だった。