新NISA制度が施行されて1年が過ぎるなか、金融庁は4月3日に「NISAに関する有識者会議」(第1回)を開催した。
 同会議ではNISAの政策目的について、中間層を中心とする層に対して安定的な資産形成を促すこととし、令和4年11月の「新しい資本主義実現会議」にて策定した「資産所得倍増プラン」では、将来にわたって安定的な制度としてNISAを措置することで、NISAを活用した金融資産形成についての予見を可能とすることを必要としている。
 そこで、新NISA制度に対して、①中間層を中心とする幅広い層にリーチできているか、②安定的な資産形成を促せているか、③実際に家計金融資産は増加しているか、の3つの項目を挙げて、NISAの政策目的が実現できたのか検証(昨年にNISAにて金融商品を購入した者7,610人にアンケート実施)を行った。
 昨年のNISAの抜本的拡充・恒久化に伴い、NISAの口座数、買付額共に伸びが拡大し、口座数は、昨年12月末で約2,560万口座(令和5年12月末から約436万口座増)に加え、買付額は、同年末で累計約52.7兆円(同年末から約17.4兆円増)となった。利用者層の分析を見ると世代別では、令和5年12月末と比較して、昨年9月末までの口座数の伸びは20代以下が1.3倍(約70万口座増)と最も大きい。その中でも、つみたて投資枠では、20代以下が91.6%と最も高く、50代以下の各世代でも80%以上と高い。
 年収別では幅広い層がNISAを利用しており、年収「500万円未満」の層が約7割(67.4%)を占める。
 同会議ではNISAの更なる浸透・発展に向けて、アンケート結果の内容等を踏まえて、今後の制度・運用上の課題・改善点について検討を重ねていく。