相続土地について、“利用する予定がない”や“周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい”などを理由に土地を手放したいというニーズの高まりや、「所有者不明土地」の発生防止のため、相続又は遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に土地を手放して国庫に帰属することを可能とした相続土地国庫帰属制度。
令和5年4月27日の制度創設以来4月で丸2年を迎えたが、法務省によると国庫帰属件数は1,586件と伸びていない。
創設から4月末の申請件数(総数)は3,732件で、その地目は「田・畑」が1,431件で最も多く、「宅地」1,302件、「山林」582件、「その他」417件。審査中を除いた状況では、受付段階での却下は58件で、理由は「建物が存する土地」「担保権・使用収益権の設定土地」「境界未確定・所有権争い土地」など。申請後の現地調査などの要件審査から不承認となったものが54件で、「急崖地(勾配30度超・高さ5m超)」「公道に接しない囲繞地で通行困難な土地」等が理由だった。自治体や国の機関による土地の有効活用の決定、隣接地所有者から土地の引き受けの申出があったなどを理由に相続人が申請を取下げた件数は604件。
却下・不承認でも申請時手数料(土地一筆当たり1万4千円)は返還されないので、事前相談を有効活用することで却下・不承認を防ぐことも必要だろう。