法務省は7月29日、「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」をとりまとめ公表した。
 現状、高齢化の進展や単身の高齢者の増加に加え、所有者不明土地問題等の社会課題を解決する観点から、遺言者の最終意思の実現手段である遺言の重要性が高まっており、デジタル技術の進展、普及等に応じた遺言の方式を検討する必要がある。
 今回の中間試案では、①普通方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設、②自筆証書遺言等の方式要件の更なる緩和の検討、③特別方式の遺言に関する見直し、として3つの検討事項を挙げた。
 このうち①では現行の方式に加え、遺言の本文をパソコン、スマートフォン等により作成した電磁的記録又はプリントアウト等した書面による方式の創設を検討している。その中でも、遺言の全文等を電磁的記録により作成し、遺言者による全文等の口述を録音・録画等により記録して遺言する方式(甲案)、遺言の全文等を電磁的記録により作成し、公的機関で保管して遺言する方式(乙案)、遺言の全文等をプリントアウト等した書面により作成し、公的機関で保管して遺言する方式(丙案)、の3案も挙げている。
 これら中間試案に関する意見募集をパブリック・コメントとして9月23日まで受け付け、結果を踏まえて今後の審議で更に検討を深めて成案を得ていくこととする。