国税庁がこのほど公表した「令和6事務年度の相互協議の状況」によると、メインとなる相手国・地域との対面協議に加えてオンライン会議等を効果的に活用したことにより相互協議事案の処理は242件と過去最多となったが、事案の発生がそれよりも上回ったことから繰越件数も773件と過去最多となった。
 令和6事務年度(令和6年7月~7年6月)において、納税者からの相互協議の申立て又は相手国税務当局からの相互協議の申入れがあった件数(発生件数)は、前事務年度より68件増の280件。種別では、事前確認に係る事案が194件で全体の約7割を占め、移転価格課税や恒久的施設(PE)、源泉所得税に関するものは前事務年度の45件から86件へと大幅に増加した。国別では、米国、インド、韓国の順で発生事案が多くなっている。
 相互協議事案の発生を受け、相手国税務当局の合意や納税者による相互協議の申立ての取下げ等により相互協議を終了した件数は、前事務年度より23件増の242件で過去最多に。種別では、事前確認事案は過去最多の194件、移転価格課税事案は40件、その他8件を処理した。
 発生件数が処理件数を上回ったため、令和7事務年度以降への繰越件数は前年より38件増の773件で過去最多。種別では、事前確認事案は595件、移転価格課税事案は151件、その他27件となっている。