総務省はさきごろ、令和7年度租税特別措置等に係る政策評価の点検結果を公表した。
租税特別措置等に係る政策評価は、税制改正作業に有用な情報を提供するとともに、国民への説明責任を果たすため省庁などの各行政機関自らが実施しているもので、総務省が政策評価書において十分な分析・説明がなされているかという観点から点検を実施して、各行政機関及び税制当局に結果を通知する。
政策評価の義務付け対象は、法人税(国税)、法人住民税・法人事業税(地方税)関係の措置のうち、税負担を軽減・繰延べするもの。
今回の公表は、各省庁がとりまとめた令和8年度税制改正要望に盛り込まれた来年3月に適用期限を迎える特例等のうち40件の政策評価書が対象。内訳は、経済産業省が11件と最も多く、以下、国土交通省10件、内閣府7件、金融庁・厚生労働省・農林水産省各3件、防衛省・総務省・文部科学省各1件。
点検結果の評価(点検の観点ごとに5段階で評定を付与し、これらの評定を4~0に点数化して平均点を算出)をみると、分析及び説明状況について、当該措置の適用数の実績及び見込みが具体的に把握・予測されているかなどの「過去の適用数」や当該措置によるべき理由が他の政策手段との比較を踏まえて具体的に明らかにされているかの「他の政策手段」に関しては3.9以上と一定の評価を付けているものの、「過去の効果」が2.65、「将来の効果」が2.1を中心に不十分なものが一定数みられたと分析している。
主な措置の評価をみると、「達成目標が適切に設定されておらず、効果の説明も不十分な評価書」とされたのが、経済産業省の「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(生産工程効率化等設備を取得した場合の特別償却又は税額控除)」の延長等 (法人税、法人住民税、法人事業税)。
また、内閣府の「国家戦略特区における特別償却又は税額控除の延長(法人税、法人住民税、法人事業税)」は、将来の達成目標の実現見込みや適用数が予測されていないため本特例措置が達成目標の実現にどの程度寄与するのか明らかでないとして、不十分な評価書であるとしている。