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よろず支援拠点の機能強化等に向けた報告書を公表
経済産業省・中小企業庁はさきごろ、「地域の経営支援力強化に向けたよろず支援拠点のあり方検討会」がとりまとめた報告書を公表した。創設から10年を迎えた中小企業等の相談窓口「よろず支援拠点」の機能強化をはじめとする今後の方向性はどうなっていくのか。
「よろず支援拠点」は、中小企業・小規模事業者が抱える資金繰りや人材確保、生産性向上などの直面する経営課題に対して、地域の支援機関と連携しながら無料で相談を受けるワンストップ窓口として、平成26年6月から経済産業省・中小企業庁が全国47都道府県に1カ所ずつ、各都道府県の支援センターや商工会議所、商工会連合会等に設置している。相談対応は、マーケティング、IT、デザイン、財務等の知識や豊富な経験を持つ中小企業診断士やITコーディネータなどの専門家約1,070名(昨年4月時点)がアドバイスを行い、課題解決策を提案し、成果が出るまでフォローアップ(継続支援)する。
また令和4年度には新たに伴走支援事業も追加支援に加えるなど、時代に合わせた体制強化を図っており、相談対応件数は事業開始年の6万件超から、令和5年には43万件超にも増加して利用者の満足度も9割と高い。
このような“中小企業等の駆け込み寺”的存在のよろず支援拠点が昨年6月に創立10年を迎えた。中小企業庁等では中小企業等を巡る環境が、「30年ぶりの賃上げ」、「構造的な人手不足」、「原材料・エネルギーコスト等の上昇」など、急速かつ大規模な変化を遂げる中、中小企業等が成長発展していくには『稼ぐ力』を高めることが重要との認識から支援機能強化や他の支援機関との連携強化につながる方策の提示を目指し、昨年10月に検討会を立ち上げ議論を開始。今年3月までに6回の検討会を開き報告書をまとめた。
報告書では、今後の運営のあり方については、各拠点が地域の実情に応じ拠点ごとのやり方で発展してきたことを踏まえ、引き続き各拠点の特徴を活かしつつ、事業者にとってより望ましい支援ができるよう、全国組織としての強みを活かし、拠点間での知見・ノウハウの共有を通じた支援能力の向上や、地域を越えた相談対応など環境整備に取組むべきとしている。また商工会・商工会議所、認定経営革新等支援機関等との連携では、地域の支援機関が一体となり取組む必要性を指摘。「よろず支援拠点を含む地域の支援機関には、それぞれの特徴や強みを踏まえ、適切に役割分担をしながら、中小企業・小規模事業者支援に取り組むとともに、支援機関間の連携を深め、相互の支援ノウハウ・知見の共有を通じて、地域全体の支援能力の底上げを図ること」を明記。具体的には、地域の支援機関の職員をよろず支援拠点に受け入れるトレーニーの仕組みや、支援機関職員の相談対応にコーディネータが同席して対応する等による、よろず支援拠点の蓄積する支援スキル・ノウハウの共有。また、各省のワンストップ窓口とよろず支援拠点が連携し、共同相談会の開催や案件の繋ぎ等の促進などを挙げている。
今後も、よろず支援拠点が中小企業支援の底上げの中心を担ってほしい。