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身近になってくるe-Tax等での法定調書の提出義務
令和9年1月1日以後、法定調書の提出に関してe-Tax等での提出義務枚数が100枚以上から30枚以上に変更される。提出義務の判定は基準年(前々年)で判断するため、今年提出する法定調書の提出枚数が30枚以上の場合が該当する。見直しにより対象となる中小企業等も増えることが予想されており、e-Tax等での法定調書の提出義務化が身近となってくる。
所得税法や租税特別措置法などの規定により、支払事務を取り扱う事務所、事業所等の所在地を所轄する税務署への提出が義務付けられている「法定調書」。身近なものとしては、給与所得の源泉徴収票や報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、不動産の使用料等の支払調書などがある(現在63種類)。
そして法定調書の種類ごとに、一定枚数を超えるとe-Tax又はCD・DVDなどの光ディスク等での提出が義務化されている。令和2年12月31日以前は、前々年(基準年)に提出すべきであった当該法定調書の枚数が「1,000枚以上」の場合が対象であったが、令和3年1月1日以後の提出から、枚数が「100枚以上」に引き下げられ、例えば令和元年に提出すべき「給与所得の源泉徴収票」の枚数が「100枚以上」なら、令和3年1月に提出する「給与所得の源泉徴収票」はe-Tax又は光ディスク等により提出することとなった。
そして、令和9年1月1日以後の提出からは、さらに当該法定調書の枚数が引き下げられ「30枚以上」ならe-Tax又はCD・DVDなどの光ディスク等による提出が義務化されるため、基準年となる今年(令和7年)中に提出する法定調書の枚数が30枚以上となった場合は、再来年の令和9年に提出する法定調書はe-Tax等により提出しなければならない。
ただし、対象となる法定調書の提出枚数“30枚以上”かどうかの判定は、前述のとおり総法定調書枚数ではなく、「法定調書の提出義務を有する者ごと」、「法定調書の種類ごと」に行うことになるので注意したい。具体的には、令和7年1月において甲支店は50枚、乙支店は25枚の給与所得の源泉徴収票を提出しているケースでは、提出義務者ごとの判定となるため甲支店のみがe-Tax又は光ディスク等による提出を義務付けられる。また、甲支店が40枚の給与所得の源泉徴収票のほかに、報酬等の支払調書を25枚提出していたとしても、e-Tax又は光ディスク等による提出義務があるのは給与所得の源泉徴収票のみで、報酬等の支払調書は書面でも問題ない。
なお、給与所得(及び公的年金等)の源泉徴収票のe-Tax又は光ディスク等による提出が義務付けられた年分については、市区町村に提出する給与支払報告書等についても光ディクス等又はeLTAX(地方税ポータルシステム)による提出義務がある。
法定調書には給与所得や退職所得の源泉徴収票などが含まれているため、“対象枚数30枚以上”への見直しは、対象となるすそ野が拡がり電子申告が必要となる中小企業等はかなり増えることが予想されることから、該当企業等はしっかり準備しておきたい。また、電子申告はコスト削減や業務の効率等にも繋がるため、今回対象外の企業等も申告書等提出方法の見直しを検討することも必要ではないだろうか。