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GビズIDで申請・届出等を効率化
最低賃金引上げに対応する中小企業に対して要件緩和措置を講じたIT導入補助金の申請、賃上げ促進税制や中小企業防災・減災投資促進税制の適用にあたっての計画認定申請、社会保険の手続きや算定基礎届等について、一つのID・パスワードで複数の行政サービスにログイン、オンライン申請等できる「GビズID」が、業務効率化の面からも利用企業は増加傾向にある。
GビズIDは、個人事業主も含め全ての事業者を対象とした共通認証システムで、アカウントを作成すれば、一つのID・パスワードで複数の行政サービスにログインでき、補助金申請、社会保険手続、各種認可申請など業務上の電子届出や申請に利用できる。ID発行時の身元確認のみで、各手続での本人確認書類の提出は不要。取得したアカウントは現時点では有効期限が設けられておらず、年度更新の必要はない。
利用可能な行政サービスは、IT導入補助金2025、経営革新計画電子申請システム、経営力向上計画申請プラットフォーム、事業継続力強化計画電子申請システム、中小企業新事業進出補助金、認定経営革新等支援機関電子申請システム、中小企業庁成長加速マッチングサービス、雇用関係助成金ポータル、日本公庫ダイレクトなど、省庁が提供する多岐にわたるサービスのほか、全国の自治体でも各種オンライン申請・届出サービス等のシステムにログインできるようにしている。
アカウントは、GビズIDプライム、GビズIDメンバー、GビズIDエントリーの3種類があり、後者2つは利用可能な行政サービスに一定の制限が設けられているが、プライムでは作成に審査があるものの全てに利用でき、従業員用のアカウントを増やすことも可能。マイナンバーカードを使用してオンライン申請すれば、最短で即日発行される。
デジタル庁が公表した今年8月31日時点におけるGビズIDの取得・利用状況では、GビズIDを取得している法人(法人番号から識別可能な株式会社)は65万4,058法人で、今年6月は1ヵ月で1万473法人にのぼり毎月4千法人以上が新規取得するなど増加傾向にある。ただし、国税庁が公表している活動中の全ての株式会社に占める取得法人割合は24.3%と3割に満たないことから、今後の周知・広報やID取得の更なる簡便性が求められる。
3種類あるGビズIDのうちプライムアカウントの累計発行数は135万9,423件で、法人代表者アカウントは104万2,817件、個人事業主アカウントは31万6,606件。
GビズID経由での連携サービスの利用では、直近1年間の利用回数が2,915万189件と、前年1年間の2,385万5,584件と比べて22%の増加となり、今年1月の月次では前年同月比47%増と多くの利用があった。
令和6年度税制改正では、所要の法令改正等が前提のため適用期日は未定だが、法人が、一定の認証レベルを有するGビズIDを用いて、e-Taxのログインを可能とするとともに、e-TaxのID・パスワードの入力及びその申請等の際の電子署名・電子証明書の送信を不要とする、GビズID利用者の利便性の向上に資する環境整備も図られる。幅広い行政サービスに対応し今後も拡大を予定していることから、GビズID取得は今後必須となろう。