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見直し対象の基準額等のある税制措置は
内閣府が9月末に開催した「予算・税制に係る公的制度の基準額・閾値の点検・見直しに関する関係府省庁連絡会議(第2回)」では、適用期限がなく過去10年以内に見直しが行われていない“長年据え置かれたままの基準額等”がある税制措置を点検した結果、国税では37件、地方税では27件の措置が今後見直しの検討対象となり得るとの結論に至っている。
同会議は、物価上昇に合わせた予算・税制に係る公的制度の基準額や閾値の省庁横断的・網羅的な点検・見直しを進めるにあたり、関係府省庁間の緊密な連携を確保して、その円滑な実施を図るために今年6月に設置されたもので、内閣官房副長官補を議長に、各省庁の大臣官房長や統括官等で構成され、財務・総務両省の審議官及び主計局次長がオブザーバーとして参加。
このうち税制に関しては、国税・地方税の税制全般を対象に、長年据え置かれたままの基準額や閾値を有する規定を抽出して令和8年度税制改正における要望の要否等を点検、見直すこととし、長年にわたり見直しが行われない状況が再び生じないよう制度の特性に応じた改定ルールを設けることとする。
国税については、適用期限がなく過去10年以内に見直しを行っていない基準額等がある273件の措置のうち、法定調書の提出基準など課税基準や税額の計算に直接用いられない手続き規定39件と、罰金や医療費控除の対象となる最低支出額など基準額を引き上げることが国民の負担軽減にはつながらない足切り基準99件を除いた135件を中心に、来年度税制改正における要望の要否等を点検。地方税については該当する294件のうち77件を点検。その結果、国税は37件、地方税は27件が見直しの検討対象で、与党税調における議論を経て決定されることとなる。
国税における見直しの検討対象は、各省から見直しの改正要望があったものでは、経済産業省要望の「食事支給に係る所得税非課税制度の見直し」と「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長等」における特例基準額、国土交通省要望の「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等の拡充及び延長」における建築費単価上限額、など計9件。
この他で見直しの検討対象となり得るものは、マイカー通勤に係る通勤手当の所得税非課税限度額、深夜勤務の夜食代に係る所得税非課税限度額、給与の差押禁止金額、令和7年度税制改正法附則に基づく所得税の抜本的な改革の一環で整理した各種所得の課税の在り方等など28件。地方税では、不動産取得税・固定資産税・自動車税・軽自動車税の各非課税基準を俎上に上げた。
一方、見直しの検討対象外としたのは、端数計算規定や資本金基準、同族会社の留保金課税(税率区分の基準額)など、適正な課税の確保や納税者間の税負担のバランス等の観点を踏まえ設定され、物価動向によってのみ見直しを行うことには馴染まないもの。
これらの点検結果等について経済財政諮問会議等で審議を行い、年末にかけて予算編成や税制改正プロセスの中で点検結果に基づく要望内容を精査していくこととする。