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迫る令和7年度休眠会社等のみなし解散登記

 現在、法務省では休眠会社・休眠一般法人の整理作業(みなし解散)を進行中だ。対象となる同会社・法人への職権解散登記(12月11日)の期限が迫っており、単純に登記の失念だったとしても会社消滅となることから、一定期間以上登記をしていない会社等は、最後の登記時期の確認が必要だ。

 休眠会社及び休眠一般法人とは、最後の登記から12年が経過した株式会社(特例有限会社除く)と5年が経過した一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人含む)を指す。
 会社法では、株式会社は取締役任期が原則2年(最長10年)とされていて、全ての役員が再任された場合も任期満了に伴う役員変更登記は必要とされており、少なくとも10年に1度は取締役変更の登記がされる(一般社団・財団法人の場合も同様の規定がある)。そのため、会社等は最後の登記から12年以上経過している株式会社や5年以上経過している一般法人は、「必要な登記申請」または「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄登記所に行わなければならない。ちなみに、登記を怠ると会社や法人の代表者、外国会社の日本における代表者には、裁判所から100万円以下の過料に処せられる。
 整理作業は、このような法令の下で長期間登記がされていない株式会社等については、既に事業を廃止して実態がない可能性が高く、これを放置することは商業登記制度への国民の信頼を損ねるほか、休眠会社や一般法人が売買され犯罪に利用されるケースがあるため、昭和49年に休眠会社等の整理作業が開始された。当初は株式会社のみ不定期実施だったが、一般法人も整理対象に追加された平成26年度以降、毎年行われている。これまで解散したものとみなされた株式会社は73万3,036社、一般法人は1万4,151法人におよぶ。
 なお、最後の登記以降に登記事項証明書や代表者届出印の印鑑証明書の交付請求を行っているだけでは整理対象からは除外されず、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしても、必要な登記(役員変更等)申請が行われない限り、翌年度も整理対象となる。
 令和7年の整理事業は、10月10日付でみなし整理の官報公告が行われ対象会社等には登記所からその旨の通知書が送られている。そして公告の日から2か月以内となる12月10日までに、対象会社等は管轄の登記所に役員変更等の届出又は登記がされないときは、翌12月11日付で解散したものとみなされ、事業継続中であっても登記官による職権での解散登記が行われる。ここでも注意点があり、移転などにより通知書が届かない場合も期限を過ぎると解散となることだ。
 ただし、このような厳しい取り扱いとされてはいるものの、解散の登記がされた後3年以内であれば、株式会社の場合は「株主総会の特別決議」(一般社団・財団法人の場合は「社員総会の特別決議」又は「評議員会の特別決議」)を行うことで、復活(継続)することは可能とされていて、その際は継続決議後2週間以内に継続登記の申請が必要となる。