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事業承継税制の計画書提出期限延長と制度の行方

 令和8年度税制改正大綱に盛り込まれている事業承継税制における特例承継計画書の提出期限延長の根拠法となる経営承継円滑化法の省令改正案が2月5日、パブコメに付された。一方、大綱では事業承継の今後のあり方を9年度改正で議論して結論を得るとされており、その内容が今から注目されている。

 事業承継税制は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(円滑化法)に基づく認定の下、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について贈与税や相続税の納税を猶予する制度。会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産が対象の「個人版事業承継税制」があり、法人版事業承継税制には特例措置と一般措置の2つの措置がある。適用期限は、特例措置が平成30年1月1日から令和9年12月31日までの10年間、個人版事業承継税制が平成31年1月1日から令和10年12月31日までとされている。
 令和8年度税制改正大綱では、経営者の高齢化の進展等を踏まえ中小企業の事業承継を後押しし生産性向上・成長を支援する観点から、今年3月末で期限を迎える法人版特例措置の特例承継計画書の提出期限を令和9年9月末、個人版事業承継計画書の提出期限を令和10年9月末まで延長することが盛り込まれた。手続きの一環である承継計画書の提出期限の延長は過去にも行われているが、今回の改正で適用期限から逆算して3か月前までに承継計画書を提出すればよいこととなる。
 大綱では中小企業等の経営者の円滑な世代交代を通じた生産性向上という待ったなしの課題を解決するための時限措置のため、中小企業経営者等に適用期限の到来を見据えた早期の事業承継を促している。
 そして去る2月5日、事業承継税制の特例承継計画書提出期限の延長の根拠法となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」で指導及び助言に係る都道府県知事の確認のための申請書の提出期限を定めている施行規則(省令)17条の該当する中小企業者の部分の「令和8年3月31日」を「令和9年9月30日」、個人である中小企業者の部分の「令和8年3月31日」を「令和10年9月30日」に見直す改正案がパブリックコメントに付された(締切は3月6日)。
 また大綱では、制度の適用期限到来後(特例終了後)のあり方についても、世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念、適用状況や課税の公平性等の観点も踏まえて多角的な検討を行い、令和9年度税制改正で結論を得るとの文言が明記されており、制度の改正や延長等を含め注目される。
 というのも、中小企業経営者等の高齢化は確実に進んでいる一方、後継者選びは思うように進んでいないケースは多く、このまま期限を迎えれば廃業せざるを得ない黒字企業も出てくる可能性もあるからだ。また「納税猶予後の報告義務」、「特例承継計画の手続きに一定の労力が必要」、「担保の提供が必要」等、制度の適用要件(障壁)が数多いこともネックに挙げられている。しかし、対象となる中小企業は、自社の今後を見据え計画書提出等の処理を粛々と進めていくべきだ。