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令和6年度の租特適用状況調査結果は
政府は昨年末に租税特別措置・補助金見直し担当室を立ち上げ同措置の適正化を進めている中、開会中の第221回国会に令和6年度の「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」が提出された。法人税関係の租税特別措置の適用状況(適用件数・適用額)と同措置の今後は…
同報告書は、租税特別措置(以下、租特)の適用状況の透明化等に関する法律(租特透明化法)で定められており、租特の適用実態把握のため、調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることで適用状況の透明化を図り、適切な見直しを推進し公平で透明性の高い税制の確立を目的としている。そして、毎年3月末までに終了した事業年度等において、税額又は所得を減少させる規定等を適用した法人税関係特別措置について、その年11月末日までに提出された法人税申告書に添付する適用額明細書に記載された事項を集計(連結法人は1グループ・1法人)したもの。
適用状況をみると、令和6年度の適用額明細書の提出法人は151万7,466法人、特別措置76項目について延べ251万3,286件適用されている。
主な種類をみると、法人税率の特例(措置数2)は111万1,078件で特例対象所得金額は4兆7,267億円、税額控除関係(同17)は35万7,949件で控除額は2兆164億円、特別償却関係(同26)は3万6,391件で特別償却限度額等は8,889億円、準備金関係(同9)は4,682件で損金算入額は6,067億円。
個別措置の適用概況では、中小企業者等の年800万円以下の所得金額に対する税率を15%に軽減する「中小企業者等の法人税率の特例」が最も多く、適用件数111万966件、適用額4兆7,129億円で前年より増加し、「少額減価償却資産の特例」は66万9,306件・3,847億円となっている。また、「中小企業投資促進税制」は特別償却分適用が2万696件・1,987億円に対し、特別控除分は3万3,782件・239億円。
一方、令和8年度税制改正では、ゼロベースで、政策効果の低い措置は廃止との方針で見直しが行われた結果、「倉庫用建物等の割増償却」、「地方拠点強化税制(雇用促進関係特別控除)」、「特定投資運用業者の役員に対する業績連動給与の損金算入の特例」が適用期限(今年3月末)で廃止される予定。ちなみにこれらの適用件数は、それぞれ12件、7件、0件で、これら以外でも数年間で数件の適用のものも存在する。また、企業の賃上げを後押ししてきた「賃上げ促進税制」は適用件数29万4,287件、適用額9,560億円とともに増えているが、物価高を上回る安定した賃上げの定着に向け、足元の賃上げ状況を踏まえ、大企業向けの措置が今年3月末で終了となる。
租特は、政策目的実現のために特定の条件を満たした個人・企業に税負担の軽減・加重を行う措置。昨年11月に租特や補助金の適正化に向け内閣官房に新設された「租税特別措置・補助金見直し担当室」には今後、利用状況の精査、政策効果の検証について即効性をもって実施する“租特の断捨離”を期待したい。