▼視点
▽ニュース
▽税経相談室(税理士 阿瀬 薫・山崎信義)
▽企業法務の実務(弁護士 木島康雄)
▽税理士ができる経営支援を探る
 (中小企業診断士 落藤伸夫)
▽令和8年3月期決算 税務のポイント
 (税理士 植田 卓)
▽税理士が備えるべき 顧問先対応のための労務実務Q&A
 (社会保険労務士 石井隆介)
▽ビジネス文書の書類管理術
 (整理収納アドバイザー 石牟礼ともよ)
▽令和8年1月度の企業倒産状況
▽資料~地方税法等の一部を改正する法律案要綱
▽ティータイム

拡充続く確定拠出年金等の私的年金制度

 昨年6月13日に成立した「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」により企業・個人の私的年金制度が改正され、確定拠出年金(DC)については、企業型DCにおけるマッチング拠出の制限廃止や個人型DCであるiDeCoの加入可能年齢引上げが行われるなど、今年4月・12月に多岐にわたる制度拡充等が施行される。

 年金制度改正法では、働き方の多様化等を踏まえた高齢期における生活の安定を図る観点から、私的年金制度の拡充等を行った。
 まず、令和8年4月1日から施行される注目の改正点が、企業型DCのマッチング拠出における加入者掛金の額の制限撤廃。
 企業型DCは、事業主が掛金を拠出し、加入者である従業員が年金資産を運用する制度。加入者が事業主の拠出に上乗せして掛金を拠出するマッチング拠出が可能だが、現行、マッチング拠出において加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えてはならない制限がある。
 改正では、事業主掛金の額に関わらず加入者がそれぞれの状況に応じて拠出限度額の枠を十分に活用できるよう、拠出限度額の範囲内であれば事業主掛金を超える額の拠出を不可とする制限が撤廃される。ただし、加入者掛金額の上限撤廃後、事業主の掛金が0円で加入者掛金のみを拠出するケースはもちろん認められない。この改正により、単に改正内容を規約に反映する場合や法改正によって初めて設定できる加入者掛金額を定める場合は、規約変更に係る承認申請の届出は不要。
 なお、企業年金連合会公表の「企業型確定拠出年金実態調査結果(2023(令和5)年度)」によると、企業型DC実施事業所のうちマッチング拠出の導入企業は半数で、加入者掛金を拠出している加入者の割合の平均は約3割となっている。
 4月からはこの他、中小企業向けに平成30年に創設された簡易企業型年金(簡易DC)で簡素化されていた手続きのうち、その一部を通常の企業型DCにも適用することで、中小事業主を含めた事業主全体が企業型DCに取り組みやすい設計に改善を図るとともに、簡易型DC制度を通常の企業型DCに統合。
 一方、企業型DCの個人別管理資産が自動移換されるケースが減少するように、事業主からの説明時期を「加入者が資格を喪失したとき又は企業型DCが終了したとき」ではなく「加入者の資格の喪失することが見込まれるとき又は企業型DCを終了しようとするとき」に行うものとし、退職等で資格喪失等が見込まれる加入者等に対して説明を行うことが義務付けられる。
 今年12月1日からは、iDeCoの加入可能年齢の引上げが施行予定。今年1月時点で386万人が加入しているiDeCoは、国民年金被保険者で老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者が加入対象。改正により、60歳以上70歳未満のiDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする者で、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者も加入・拠出を可能とする。改正法とは別にiDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引上げも行われる。
 拡充される私的年金を活用して、老後の資産所得の確保にしっかり繋げたい。