昨年12月22日に閣議決定した令和6年度税制改正大綱では、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から賃上げ促進税制の強化等を行うことを明記し、中小企業向けでは長期となる5年間の税額控除の繰越措置が創設される。
中小企業向け賃上げ促進税制は、雇用者全体の給与総額増加率が+1.5%以上の場合は控除率は15%、+2.5%以上では30%となり、6年度改正では前年度比+5%(現行+10%)に緩和される教育訓練費の要件を満たす場合は10%、「くるみん以上」又は「えるぼし二段階目以上」の認定を受けた仕事と子育ての両立・女性活躍支援の要件を満たす場合は5%とそれぞれ上乗せされ、税額控除率は最大で45%となる。税額控除額は給与増加額に税額控除率を乗じて計算するが、控除上限額は法人税額等の20%となる。
また、赤字経営が続く厳しい状況下でも賃上げを行う中小企業を後押しするため、5年間の繰越措置を創設する。賃上げを実施した事業年度が赤字で控除できなかった場合も翌年以降に繰り越すことができ、黒字となった事業年度に上限額を超え控除しきれなくても賃上げ実施から5年以内であれば繰越控除ができるようになる。大企業向けと新設される中堅企業(従業員数2,000人以下)向けにはこの繰越措置は設けられない。