令和6年度税制改正では、法人版・個人版事業承継税制について、特例適用の認定を受けるために必要な「特例承継計画」の提出期限をそれぞれ2年延長する。ただし、実際の承継期限に変更はないため、期限までに事業承継を完了することができないことが特例適用の障壁になっているとの声も挙がっている。
 承継時の贈与税・相続税を負担することなく自社株または特定事業用資産を承継することができる事業承継税制は法人版と個人版がある。特例措置の適用を受けるには、国が認定した税理士等の士業や金融機関等の指導・助言のもとで、後継者の氏名、事業承継の予定時期、承継までの経営見通しなどを記載した、法人版は特例承継計画、個人版は個人事業承継計画を策定し、期限までに提出する必要がある。
 中小企業では70代以上の経営者割合は依然として大きく、コロナ禍や物価高騰等の急激な経営環境の変化により事業承継の具体的な検討が遅れている影響が考えられることから、令和6年度改正では、特例承継計画及び個人事業承継計画の提出期限をそれぞれ2年延長し、令和8年3月31日までとする。ただし、法人版は令和9年3月31日、個人版は令和10年12月31日までの贈与・相続が対象となり、この適用期限の改正は行われないので注意が必要だ。