国税庁がまとめた「令和5事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」によると、外国税務当局からCRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)を245万件受領したことがわかった。
 経済社会の国際化が進展している中、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや、各国の税制の違い等を利用して税負担を軽減する等の国際的な脱税及び租税回避の把握や防止を図るため、租税条約等に基づく情報交換により、納税者の取引等の税に関する情報を税務当局間で互いに提供している。
 今年1月1日現在、我が国の情報交換ネットワークは155か国・地域に適用。租税条約等に基づく情報交換には、CRS情報をはじめ、多国籍企業グループの国ごとの活動状況に関する国別報告書(CbCR)や、法定調書により把握した非居住者への支払についての情報(法定調書情報)を定期的に交換する「自動的情報交換」と、自国の納税者に対する調査等の際に入手し外国税務当局にとって有益と認められる情報を提供する「自発的情報交換」、国内で入手できる情報だけでは調査で事実関係を十分解明できない場合に必要な情報の収集・提供を外国税務当局に要請する「要請に基づく情報交換」の3つの類型がある。
 このうち、「自動的情報交換」では、CRS情報は、日本居住者に係る個人口座約243万件(残高約8.2兆円)と法人口座約3万件(残高約6.0兆円)の計245万5,288件を93か国・地域から受領し、外国居住者に係るCRS情報約51万件を80か国・地域に提供。移転価格リスク評価に使用しているCbCRは、外国に最終親会社等がある2,315グループ分を58か国・地域から受領し、日本に最終親会社等がある927グループ分を68か国・地域に提供しており、過去5年間ではいずれも最多となった。利子、配当、不動産賃貸料等の非居住者への支払についての法定調書情報は、外国税務当局から13万483件を受領し、我が国からは75万646件を提供している。