財務省がこのほど公表した特別調査「地域企業における賃上げ等の動向について」によると、令和6年度に賃金のベースアップ(以下、ベア)を実施した企業が7割超、定期昇給を実施した企業が8割超となり、多くの企業が賃金の底上げを意識していることがわかった。
 同調査は、地域企業における賃上げ等の動向について把握するため、全国の各財務局等が管内経済情勢報告を取りまとめる際に従来から継続的にヒアリングを実施している企業等(全国計1,125社)に3月中旬からヒアリング調査を行い4月5日時点の回答を取りまとめている。
 賃金引上げ動向では、令和6年度にベアを実施した企業が70.7%(前年度64.4%)、定期昇給を実施した企業が81.9%(同79.4%)とそれぞれ前年度から増加。一方で、賞与・一時金・手当等増額を行った企業は34.3%(同43%)で前年度から減少している。ベア実施企業を規模別にみると、大企業が81.1%(同77.9%)、中堅・中小企業等が63.1%(同54.3%)で大企業より中堅・中小企業等の伸び幅が大きくなっており、中堅・中小企業等にも賃金引上げの流れが広がっている。
 賃金引上げ率では、ベアや定期昇給、賞与等の何らかの賃上げを実施する企業のうち、引上げ率を5%以上とした企業は前年度(30%)から16.5ポイント上昇の46.5%で半数に届く勢い。5%以上の引上げ率は、大企業65.9%、中堅・中小企業等33.9%と規模別にみてもそれぞれ前年度から上昇し最も多くの企業が採用した引上げ率となっている。