国税庁がこのほどまとめた令和5事務年度における法人税・法人消費税及び源泉所得税の調査事績によると、法人税及び消費税の調査においてAIを活用した予測モデル等により申告漏れの可能性が高いと判定した法人に対する追徴税額が前年より増加するなど、三税にかかる追徴税額が平成22事務年度以降で過去最高額となった。
 令和5年2月1日から令和6年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和5年7月から令和6年6月までの間に実施した令和5事務年度における法人税調査では、実地調査を前年より3千件減の5万9千件に実施。
 実地調査の結果、申告に何らかの非違があった法人は4万5千件、申告漏れ所得金額は9,741億円、調査による追徴税額は加算税等を含めて2,102億円といずれも前年より増加した。このうち、不正計算があった1万3千件から不正所得金額2,775億円を把握し、不正発見割合は22.3%。
 一方、法人税と同時に行う法人消費税の実地調査については、5万7千件に実施し、非違があった3万4千件に1,095億円を追徴課税。このうち不正計算があった1万1千件に係る追徴税額は344億円、1件当たりでは318万円。
 また、国税当局では調査にあたり、データベースに蓄積された申告事績や法定調書等を予測モデルで分析を行い、収集した資料情報等をデータの分析結果を併せて検討することで、調査必要度の高い納税者等を的確に抽出し、深度ある調査を実施している。
 税務署所管法人に対する法人税・消費税の調査において、このAIを活用した予測モデルにより申告漏れの可能性が高いと判定し調査を実施したのは3万5,472件、その追徴税額は1,665億円で全体の78.9%を占め、前事務年度より193億円も増加している。