国税庁が公表した「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、実地調査と簡易な接触を合わせた調査等件数及び追徴税額が簡易な接触の事績の公表を始めた平成28事務年度以降で最高となったことなどがわかった。
 令和5事務年度(令和5年7月〜6年6月)においては、8,556件に実地調査を行った結果、申告漏れ等の非違があったものは7,200件で申告漏れ課税価格は2,745億円。非違事案の13.5%にあたる971件に重加算税を賦課しており、申告漏れ課税価格のうち重加賦課対象は375億円、追徴税額は加算税含め735億円。
 大口・悪質事案に対する実地調査を積極的に行っている一方、文書や電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れや計算誤り等がある申告を是正する「簡易な接触」にも積極的に取り組んでいる。
 令和5事務年度は1万8,781件に簡易な接触を行い、このうち申告漏れ等の非違があった5,079件から申告漏れ課税価格954億円を把握し、122億円を追徴課税しており、いずれも簡易な接触の事績公表を始めた平成28事務年度以降で最高となった。簡易な接触1件当たりの申告漏れ課税価格は508万円、追徴税額は65万円。
 この簡易な接触と実地調査を合わせた「調査等合計」の調査等件数は2万7,337件、申告漏れ等の非違件数1万2,279件、申告漏れ課税価格3,698億円、追徴税額計857億円と、調査等件数及び追徴税額はコロナ禍前の平成30事務年度の水準を上回るまでに回復している。