国税庁がまとめた「令和5年分の国外財産調書の提出状況」によると、同年分にかかる国外財産調書の総提出件数は1万3,243件、総財産額は6兆4,897億円にのぼり、いずれも制度開始以降10年連続で増加し、過去最多となった。
平成26年1月に施行された国外財産調書制度では、その年の12月31日において保有する国外財産の合計額が5千万円を超える居住者は、財産の種類・数量・価額など必要事項を記載した国外財産調書を翌年6月30日までに税務署長に提出しなければならない。
令和5年分の総提出件数は前年分より749件増の1万3,243件で、総財産額は同7,675億円増の6兆4,897億円。財産の種類別総額では、「有価証券」の4兆905億円が最も多かった。
国外財産調書制度では、適正提出を確保する観点から過少申告加算税及び無申告加算税の特例措置等が設けられており、提出した調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税に申告漏れが生じたときは加算税を5%軽減するとともに、調書を未提出または提出した調書に記載すべき国外財産の記載がなく、その国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときは加算税が5%加重される。
令和5事務年度における所得税及び相続税の実地調査の結果、軽減措置を適用した件数は168件で、対象となった増差所得等金額は67億78万円、追徴税額は加算税含む20億円。一方、加重措置を適用した件数は303件、対象となった増差所得等金額は105億3,384万円、追徴税額は加算税含め28億円だった。