公正取引委員会が公表した「令和5年度における独占禁止法違反事件の処理状況」によると、インボイス制度実施や急激なコスト上昇に伴う価格転嫁に関連して発注サイドの事業者による中小事業者等に不当に不利益を与える「優越的地位の濫用行為」に対して67件の注意を行ったことがわかった。
 注意事例では、農産物加工品の製造販売業者が農家に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で伝えるなど一方的に通告していたものや、織物卸売業者が取引先の中小事業者からのコストの上昇による取引価格の引上げ要請に対して、一部の品目の引上げにしか応じないなど、一方的に取引条件を設定している疑いがあったものなどがあった。