国税庁がまとめた令和5年度(令和5年4月〜令和6年3月)における査察の概要によると、令和に入り最も多い154件の査察調査に着手、悪質な脱税者101件を検察庁に告発し、告発事案に係る脱税総額は89億円だった。
 同年度においても、消費税不正還付事案、無申告事案、国際事案、インターネットを利用した脱税など、時流に即し社会的波及効果が高いと見込まれるものを重点事案と捉えて査察調査を実施した。
 査察調査の結果、検察庁への告発の可否を最終的に判断した「処理」は151件。このうち101件を検察庁に告発し、告発率は66.9%。
 査察事案に係る脱税総額(加算税含む)は119億8,000万円で、1件当たり7,900万円。このうち検察庁への告発分は89億3,100万円で、1件当たり8,800万円と高額となっている。
 告発を行った査察事件の令和5年中の一審判決は83件。その全てに有罪判決が言い渡され、そのうち、9人に実刑判決が出された。
 1件当たりの犯則税額は5,800万円、懲役月数は15.6月、罰金額は1,500万円。実刑判決のうち最も重かったのは、査察事件単独のもので懲役4年、他の犯罪と併合されたもの(詐欺、業務上横領、所得税法違反等の併合罪)で懲役6年だった。