国税庁は8月末に令和6年度の機構・定員及び予算概算要求において、適正・公平な課税・徴収の実現と納税者サービスの充実に向けて必要な予算及び人員等の要求を行いました。
 機構の要求では、経済取引のグローバル化及びデジタル化等による調査・徴収事務の複雑化への対応として、各国の税務当局が協力して互いに条約相手国の租税を徴収する「徴収共助」に関し、条約相手国でない国と協議を行い実質的な裁量権をもって合意にまで繋げる「国際徴収調整官」(仮称)を国税庁徴収課に新設することを要求しています。
 消費税不正還付への対応として、主要税務署8署に「消費税専門官」の増設を求めるとともに、内部事務一元化のため各局所に設けている業務センター室拡充への対応では、国税局総務部に「統括国税管理官」を13人(東京3人、名古屋・大阪各2人、札幌・仙台・関東信越・高松・福岡・熊本各1人)と「主任国税管理官」を120人増員することを盛り込んだ。
 また、令和5年度から国家公務員の定年年齢が2年に1歳ずつ、段階的に65歳まで引き上げられることとなったが、この定年引上げに伴う最適な職場環境の整備のため、税務署に「国税指導官」(仮称)を154人求めています。  定員要求については、インボイス制度への円滑な導入への対応として489人のほか、消費税不正還付への対応で345人など、計1,191人の増員を要求しています。
 予算要求では、今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023」等の政府全体の方針に加えて、納税者利便の向上、課税・徴収の効率化・高度化等に必要な予算要求を行っており、予算要求額は5年度当初予算より223億円減少の6,193億円。内訳は人件費を除く一般経費は825億8,800万円。
 内訳は、「庁局署一般経費」が617億円で最も多く、「納税者利便向上経費」の29億円のほか、e-Taxの利用促進に向けた取組等に必要な経費として8億円、電話相談センターの運営経費として21億円などを計上しています。