中小企業にも浸透してきているM&Aについて、不適切な買手との間でM&A成立後にトラブルに発展する事例が増えている。
最終契約書に基づき株式譲渡や事業譲渡などのM&A取引が実行され、対象となる会社(又は経営に関する権利)が売手から買手への移転が済む、いわゆる「クロージング」後に売手経営者の個人保証について、売手から買手に何度依頼しても契約に基づいた移行がなされなかった。そして買手が売手の現預金等の資産を回収したが、必要な事業資金の送金がなされず、売手は倒産。この結果、経営者保証が残っていた売手経営者が債務を負い個人破産したケースがなどトラブル事例が公表されている。
このため中小企業庁は、M&Aの実施を検討している中小企業へ不適切な買手とのトラブルに注意を促し、M&A専門業者(仲介者・FA)の支援に少しでも違和感を持った場合は、弁護士や各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターに相談するよう周知を図っている。