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窓口からキャッシュレスへの納付を強化

 国税庁は、5月30日の国税・地方税キャッシュレス納付推進全国宣言式(表紙参照)を契機として、「キャッシュレス納付推進協議会」を発足させ、関係省庁及び日銀など金融機関との連携を強化し更なる普及を目指すこととしている。国税の6割強が金融機関や税務署等での窓口納付となっているが、どのように利用促進を図っていくのか。

 キャッシュレス納付推進協議会は、国税庁・総務省・金融庁・地方税共同機構と、日本銀行・全国銀行協会・全国地方銀行協会・第二地方銀行協会の8団体で構成。これに加えて、日本税理士会連合会、全国法人会総連合、全国青色申告会総連合、全国納税貯蓄組合連合会、全国間税会総連合会、納税協会連合会の税務関係団体と金融業界団体を含む計23団体が、それぞれが共同してキャッシュレス納付の一層の普及を推進することを宣言した。
 多様化している国税の納付手段は大きく分けて2種類。まず、金融機関及び税務署で現金や証券に納付書を添えて納付する方法と、税務署から送付等されるバーコード付納付書又は自宅等で作成・出力したQRコードのいずれかを使用して行うコンビニ納付の「窓口納付」。そして、口座振替、クレジットカード納付、スマホアプリ納付と、e-Taxでの申告後のインターネットバンキング等の納付やダイレクト納付の電子納税を加えた、現金(紙幣・硬貨)を使用しない非対面の納付方法の「キャッシュレス納付」。
 地方税においても、インターネットバンキング・クレジットカード・スマートフォン決済アプリによる納付やダイレクト納付の従来からある納付方法に加え、昨年4月から「地方税統一QRコード(eL-QR)」を用いた納付方法を導入し、eLTAX又はスマートフォンによる電子納付サービスを開始している。
 令和4年度の国税納付件数は、金融機関窓口が2,768万件(構成比57.1%)、税務署窓口が95万件(同2.0%)、コンビニ納付が246万件(同5.1%)で「窓口納付」は64.1%を占める。一方、キャッシュレス納付は1,741万件で35.9%。インターネットバンキング等による電子納税が701万件(同14.5%)、口座振替が605万件(同12.5%)、今年4月から新機能を搭載したダイレクト納付が337万件(同7.0%)と利用は多いが、Pay払いを使用するスマホアプリ納付は15万件(同0.3%)にとどまる。
 キャッシュレス納付割合は都道府県別で差があり、最も高い石川県(36.8%)をはじめ、茨城県・群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・島根県では3割を超えるが、北海道(19.3%)と青森県(19.9%)では2割を下回る。
 窓口納付を行うのは7割が法人で、税目別では源泉所得税が5割、消費税が2割を占める。令和7年度までのキャッシュレス納付割合4割の目標達成まであと少しだが、将来的にはe-Taxの利用率と同程度まで引き上げたい意向を示している。そのため、推進協議会で課題や事業者ニーズを把握し具体的な取組方法を協議するほか、税理士事務所の事務所職員を対象とした研修会の開催や関与先の利用割合が低調な税理士に対して個別勧奨を行うなど局署レベルでも今後も推進運動を展開していく考えで、キャッシュレス納付がどれだけ普及するか動向に注目が集まる。