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ふるさと納税の指定基準の見直し

 去る6月28日、総務省はふるさと納税における募集適正基準及び地場産品基準を見直す告示改正や運用にあたってのQ&Aの見直しを行った。この中で、ポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて行うふるさと納税の寄附の募集の禁止や、返礼品を強調した新聞・インターネットなどの宣伝広告の禁止等が盛り込まれている。

 “生まれ育ったふるさとに貢献できる”、“自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる”制度として令和元年6月1日に施行された「ふるさと納税」。当初こそ伸び悩んだが、寄附のお礼(返礼品)が話題となり急激な右肩上がりで寄附額が上昇し、令和4年度の全国の受入件数は約5,184万件、その受入額は約9,654億円まで達している。
 一方、総務省では、同制度の適正な運用・確保を図るため随時、基準の見直しや明確化に向けた検討を行い、行き過ぎた返礼品合戦などの是正に努めてきた。
 今回の見直しは、近年増えてきたポイント等を付与するポータルサイト事業者を通じた寄附の募集禁止。禁止理由として総務省は、ポータルサイトへ支払っている手数料の一部がポイントの原資となっているのではないかと見て、禁止することによりポイント経費分が減り、収入金額が増えるとしている。ポイント分の原資の出どころについては具体的に明らかにされていないが、禁止対象となるポイント等付与のポータルサイト事業者は限定ではなく全般とされている。
 一部の自治体では、自前のサイトでは寄附が集まりづらく運営も大変なことから、ある程度の経費を支払ってでもポータルサイトを利用する意味はあるとの考えで、今回の措置に対しての反応も複雑なようだ。またポータルサイト「楽天ふるさと納税」を運営する楽天グループでは、「自治体と民間の協力体制を否定するもの。地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾する」として、規制撤回を求める署名を行っているなど、批判的な意見もある。ポイント付与の見直しは来年10月からなので、今後の情勢によってはさらに見直しの可能性もあり、今後の行方を注視したい。
 一方、今年10月から見直されるのが、返礼品を強調した宣伝広告の禁止。対象は、新聞やテレビ、インターネット等の各種広告媒体や返礼品等の情報が大部分を占めるパンフレットなどで、付随的に返礼品等の情報を掲載するのは許容される。
 実際どのような表現が問題とされるのか気になるところだが、Q&Aをみると「お得」、「コスパ最強」、「ドカ盛り」、「圧倒的なボリューム」、「おまけ付き」、「セール」、「買う」、「購入」、「還元」などが該当する。また、キャンペーンのような形態で、通常と比べて「必要寄附金額の引下げ」や「個数の増量」を行う旨の併記も対象。また、民間事業者のポータルサイトを利用している自治体に対しては、上記の表現を用いた情報提供を行わせる場合も、抵触しないよう確認を求めている。
 その他、産地名の表示偽装が相次ぐことへの対応として、原料や製造、加工等の区域内・区域外の適正表示の厳格化も盛り込まれた。
 制度の趣旨等から外れる(返礼品)問題は、いつまで続くのだろうか。