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税制改正法案審議での政府答弁内容は

 令和6年度税制改正法は、国税関係、地方税関係ともに3月28日の参議院本会議において賛成多数で可決された(施行は原則、4月1日)。法案の審議においては、衆・参の本会議の前に各委員会で審議される。そこで、委員会での定額減税と外形標準課税の質疑に対する答弁を見ていく。

 税制改正法案は、衆議院の財務金融委員会及び総務委員会、参議院の財政金融委員会及び総務委員会で審議される。委員会では税制改正以外にも質疑されるが、今年は能登半島地震に伴う税制措置や政治資金問題などへの質疑もあり、税制改正関係の質疑時間は例年より短かったようだ。
 その中で多くの時間が割かれたのが、デフレ脱却のための「定額減税」について。
 定額減税の実施に当たっては、“税務処理が煩雑”、“受益の実感が薄い”ことが言われている。これに関して青木財務省主税局長と赤澤財務省副大臣は、企業・自治体・納税者に一定の事務負担が掛かることから、これへの配慮として企業が6月の減税開始後に雇用した者の減税を受けたかどうかの確認を不要とすることや、自治体が支給対象かどうかを判定するために必要となる情報を他自治体から入手するための「特定公的給付の指定」を国が包括指定することで、自治体の個別指定の申請を不要とするなどの制度設計や執行上の工夫を図っている。合わせて早期準備に着手できるようパンフの作成等を行っており、今後も事務処理を円滑に実施できるよう丁寧に対応していく。また、納税者が減税を実感できるように、ボーナスの支給時期である6月からの実施としたことや、給与明細に減税額を表記していただくことで減税が実感できる(2月27日衆院財政金融委員会)と答弁。
 一方、制度を給付にした方が素早く対象者に届くのではないかとの質問には、「コロナ禍や物価高という苦しい時期に、納税していただく方に所得の上昇を感じてもらうため」、定額減税の対象に地方税を加えた理由については、「個人住民税のみ納税している方にも減税効果を一定程度感じてもらうため」(3月22日参院総務委員会)と発言している。
 附帯決議にある「所得税の定額減税の実施にあたり、対象者が確実に減税措置を受けられるよう、適切な執行体制を確保するとともに、十分な周知・広報を行うほか、各事業者や自治体の事務負担にも配慮し、減税事務の円滑な実施に努める」が順調に進み、トラブルの無い実施を願うばかりだ。
 外形標準課税の改正では、意図的な減資による課税対象逃れの防止の為、対象法人について現行基準を維持した上で、当分の間、前事業年度に外形標準課税の対象だった法人で、その事業年度に資本金1億円以下、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超の場合は課税対象とされた。ただし、施行日が令和7年4月1日のため、それまでの「駆け込み」減資が危惧されていることに対しては、自治税務局長は「外形標準課税の対象法人が、公布日以降に「駆け込み」で減資を行った場合は、外形標準課税の対象とする措置等を設けており、公平・公正な課税が行える」(3月22日参院総務委員会)と説明している。