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骨太方針2024に盛り込んだ税制改正
政府は6月21日に来年度予算編成の基本方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針)」を閣議決定した。デフレ完全脱却の実現に向けた賃上げ定着や戦略的な投資による所得と生産性の向上、中堅企業及び中小企業の稼ぐ力を強化する取組みの姿勢を示すとともに、税制改正等に関する方向性も盛り込んでいる。
まず地域経済を牽引する中堅企業と、雇用の7割を支える中小企業の稼ぐ力を強化するため、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」にも明記した事業承継及びM&Aの環境整備に取り組み、事業承継税制の特例措置に係る役員就任要件の見直しと、第三者への承継を促進する税制の在り方の検討を深める。M&Aを円滑化するため仲介事業者の手数料体系の開示を進め、金融機関がM&A等に関するコンサルティングを行う際に経営者保証の解除に向けた方策を中小企業に提案することも促していく。
行政手続のデジタル化に関しては、マイナンバーカード機能のスマホ搭載により確定申告等のオンライン手続を簡易化するとともに、令和5年分確定申告でも機能拡充を図ったマイナポータル連携について、税務・社会保障をはじめとする各種手続に必要となるデータの連携を拡充するなど、国民の利便性向上と行政の効率化を推進していく考えを示した。
このほか、イノベーション創出や生産性向上の牽引役であるスタートアップを支援するため、エンジェル税制における再投資期間の延長を検討するとともに、地方創生を応援する企業版ふるさと納税について、これまでの取組状況等を総合的に検証し今後の在り方を検討。防衛増税に関しては、令和5・6年度税制改正大綱の基本的方向性により検討を加え、適当な時期に措置を講ずるとした。
中期的な税制改革の方向性として、「応能負担を通じた再分配機能の向上・格差の固定化防止を図りつつ、公平かつ多様な働き方等に中立的で、デジタル社会にふさわしい税制を構築し、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、EBPMの取組を着実に強化しながら、税体系全般の見直しを推進する。納税環境の整備と適正・公平な課税の実現の観点から制度及び執行体制の両面からの取組を強化するとともに、新たな国際課税ルールへの対応を進める。」と明記。EBPM(証拠に基づく政策立案)については、賃上げ促進税制改正時に、法人税の電子申告データに基づいて適用企業の実態の把握等を行い各企業規模の控除率を見直すなど、政策効果の統計的・計量的な分析を行った上で議論を進め改正内容に反映させており、税制以外でも予算編成や少子化対策等の施策においても政策立案段階からEBPMを推進していく考えだ。
地方税関連では、自治体DXによる行財政の効率化等も進め、「書かないワンストップ窓口」や地方税以外の公金納付へのeLTAX活用などフロント・バックヤード改革に取り組むほか、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築も進める方針。
税制面も含め、様々な社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現が果たせるのか、政府の舵取りが注目される。