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今事務年度の課税部重点課題への取組は
国税庁の課税部(部門)では、不正還付事案の把握・管理など消費税の適正課税の確保をはじめ、国際化、富裕層、無申告、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への対応を引き続き重点課題に掲げ、局署の実情に応じて事務量を優先的に投下し調査等を実施しているが、令和6事務年度においてはどのように取り組んでいるのか。
国税局課税部各課等及び税務署各課税部門の職員が特に重要な事項及び各担当事務を実施するに当たり留意すべき事項を掲げる「令和6事務年度における課税部(部門)の事務運営に当たり留意すべき事項について」(課税部特留)では、データ活用の事務運営への実装、調査事務の充実等、若手等職員の指導育成のほか、e-Tax及びキャッシュレス納付の利用拡大、インボイス及び電子帳簿等保存の両制度の定着・普及、令和6年分所得税の定額減税等への対応に向けた取組の方針も示し、各事務系統間の連携・協調を図りつつ、課税部(部門)全体として効果的な事務運営を進めている。
上記のうち調査事務の充実等にあたっては、実地調査及び行政指導等の接触方法の選択における留意事項、令和9年1月以降提出分から適用される法定調書の電子的提出義務基準改正の周知・広報を含めた資料情報事務の充実、調査プロセスの検証等の取組方針に加え、消費税の適正課税、国際化、富裕層、無申告、シェアエコ等新分野の経済活動への対応を課税部重点課題として取り組むことを明示。
税務執行当局の最重要課題の一つと位置付ける消費税の適正課税への取組では、輸出免税制度や輸出物品販売場制度を悪用した不正還付事案をはじめ、納税圧縮事案を含む不正計算や消費税固有の非違を念頭に置いた調査等に的確かつ重点的に取り組む。
還付申告法人に対する取組としては、還付審査において、消費税還付審査判定表及び消費税還付審査チェックシートに基づく還付審査基準に該当する法人は、確実に還付を保留した上で還付原因の解明を行うとともに、還付申告税額の異常値等を検知する不正還付検知システムを活用し、「不正還付想定法人」として管理を要する法人には厳格な対応を実施。また、地方公共団体と連携等を図り、所得税の申告義務がない者で消費税が無申告となっている者の把握に努め、いわゆる消費税のボーダーライン層に属すが所得税の申告事績やその業種の景況感等からみて意図的に所得税及び消費税を免れていると想定される者に対して積極的に調査等を実施していく。
富裕層への取組では、生前の財産移転の蓋然性が高いと見込まれる者について、他部課(部門)の調査においても生前贈与の観点に着目した調査展開が図れるよう、具体的な調査事例を紹介・依頼するなど連携を強化して生前贈与の把握に努め、贈与事実が認められた場合は連携調査などを行う。無申告法人への取組では、実態のないインボイス発行事業者を放置することで不正還付に悪用されることを未然に防止するため、業務センター室で効率的に無申告行政指導を実施し、所在不明法人については適切にインボイス登録の取消等を行っていく。今事務年度も適正・公平な税務行政の一層の推進が期待される。