▼視点
▽ニュース
▽国税局人事予想(東京局編)
▽税経相談室(税理士 小畑孝雄・森田 修)
▽企業法務の実務(弁護士 木島康雄)
▽税理士ができる伴走支援のススメ
(中小企業診断士 落藤伸夫)
▽相続税の勘どころ
(東京富士大学大学院客員教授・税理士 佐藤 繁)
▽税理士が社長の経営参謀として活躍する方法
(公認会計士・税理士 柴山政行)
▽トピックス
▽税務調査事例
▽ティータイム
協調支援型特別保証制度等による中小企業者支援
政府が策定した再生・再チャレンジ支援円滑化パッケージの一つとして、民間金融機関によるプロパー融資を含む金融仲介機能の一層の発揮に向けた「協調支援型特別保証制度」がある。中小企業者の経営状況が悪化する中、この3月14日からスタートした同制度の内容は。
協調支援型特別保証制度は、国によるコロナ対応が薄らぐ中で、近年の原材料の価格高騰、物価高、人手不足等の影響を受ける中小企業者に対し、信用保証協会の保証を付さない融資(金融機関のプロパー融資)と保証付き融資を組み合わせることなどにより、金融仲介機能の一層の強化を図り、人手不足に対応するための省力化投資による中小企業者の経営の安定や事業の発展など、多岐にわたる経営課題解決への取組を後押しするため新設された令和7年3月14日から10年3月31日までの時限措置。
申込人の資格要件は①申込金融機関から本制度による保証付き融資の実行と原則同時に本保証付き融資額の1割以上(融資期間12か月以上)のプロパー融資を受ける中小企業者、②申込金融機関の支援を受けつつ、自ら経営行動計画の策定並びに計画の実行及び進捗の報告を行う中小企業者。保証限度額は2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)で保証割合は8割保証、保証期間は一括返済の場合は1年以内(分割返済の場合は10年以内(据置期間は運転資金1年以内、設備資金及び運転設備資金3年以内))。なお、②については原則として四半期に1回、経営の状況および計画の実行状況(経営行動計画書)等を金融機関に報告することが要件とされている。担保及び保証人は必要に応じて徴求され、法人代表者以外の連帯保証人は原則徴求されない。
信用保証料は掛かるが国による保証料補助があり、保証料補助率は保証申込日に応じて変動する。具体的に上記要件①の場合は、初年度は1/2相当、次年度は1/3相当、最終年度は1/4相当とされ、②の場合は各年1/4相当とされている。
なお、和歌山県などでは別途、県独自の制度「資金繰り安定資金(協調支援枠)」を設けて対応しているところもある。
国では、この協調支援型特別保証制度のほかにも、事業者の実情に応じて経営改善・事業再生計画の策定を促した上で借換え需要にも応える「経営改善サポート保証制度」の類型として新たに「経営改善・再生支援強化型」(100%保証は100%保証で借換え、保証料0.3%、上限2.8億円、保証期間15年以内)も用意しており、事業者の返済負担軽減も合わせて実施する。また、コロナ対応での特別貸付や資本性劣後ローンが順次終了する中、日本政策金融公庫は「コロナ特別貸付」に代わる「危機対応経営安定貸付」の新設をはじめ、今年1月以降の資金繰り支援の見直しや拡充を行い、継続的な経営改善と成長促進を後押ししていく。
中小企業者にとっては、今後も人手不足等の状況は増していくことが予想される。経営者としては、設備投資・運転資金・返済資金の確保のためこれらの制度を効果的に活用し資金調達に努めたい。