▼主な内容
▽視点
▽国税庁長官・国税局長・国税不服審判所長 年頭所感
▽各界年頭挨拶
▽新春インタビュー(住澤整国税庁長官)
▽トピックス
▽新春特別寄稿
~国税当局が進める加算税の強化とそのねらい(上)
(税理士 松崎啓介)
▽新春企画インタビュー
~神津信一日税連顧問・名誉会長(前会長)
▽新春特別寄稿
~OB税理士が見た逆転裁決等から読み解く国側が引いた一線
(税理士 伊倉 博)
▽今後の資金調達環境で中小企業が生き残る方法
(中小企業診断士 落藤伸夫)
▽税理士が社長の経営参謀として活躍する方法
(公認会計士・税理士 柴山政行)
▽ニュース
▽税経相談室(税理士 安井和彦)
▽企業法務の実務(弁護士 木島康雄)
▽税理士ができる伴走支援のススメ
(中小企業診断士 落藤伸夫)
▽類似業種比準価額計算上の業種目別株価表
(令和5年9月・10月分)
税制改正大綱で明記されたデジタル化の推進
昨年12月14日に公表された令和5年度与党税制改正大綱では、物価上昇を上回る賃金上昇の実現を最優先の課題として所得税・個人住民税の定額減税と賃上げ促進税制の強化、事業承継税制やM&A税制など中小企業関連税制措置の延長・拡充等のほか、社会全体及び税務関連情報のデジタル化を推進し納税者利便を向上させる見直し案も盛り込んでいる。
与党大綱の来年度税制改正に当たっての基本的考え方では、円滑・適正な納税のための環境整備として税務手続のデジタル化による利便性の向上を掲げた。納税者が簡便かつ適正に申告・納付を行うことができるよう、税務手続のデジタル化を推進していく必要があり、電子申告等の手続の簡素化や処分通知等の電子交付の拡充、法定調書の電子提出を一層進めていくための措置を講ずることを明記。
まず電子申告等の手続の簡素化として、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる「GビズID」(法人共通認証基盤)との連携によりe-Taxの利便性の向上を図る。現行、e-Taxで申請等を行う場合には、e-TaxのID・パスワードを入力して電子署名・電子証明書を付して送信しなければならないが、改ざん防止措置を講じるなど所要の法令改正等を前提に、法人が一定の認証レベルを有するGビズIDを用いてe-Taxにログインする場合にはID・パスワードの入力及び電子署名・電子証明書の送信は不要とする。このGビズIDのアカウントは最初に1つ取得するだけで有効期限及び年度更新はない。
処分通知等の電子交付については、現行、所得税の予定納税額通知書、消費税適格請求書発行事業者の登録に係る通知、国税還付金振込通知書など9手続に限られているが、納税者の事前の同意を前提として、全ての処分通知等を電子交付できることとする。事前の同意は、任意ではなくメールアドレスの登録を必須として同意を行う方式とするとともに、個々の処分通知等ごとに同意が必要だったのがe-Tax上で一括して行う方式へと変わる。法定調書の提出義務基準は現行「100枚以上」から「30枚以上」へ引き下げる。
一方、国税庁が令和8年度から導入予定の新たな基幹システム(次世代システム)では、納税者から書面で収受した申告書・申請書・届出書等をスキャナで読み取ってデータ化し、紙出力せず端末で事務処理を行うようにする。そこでスキャナ読取精度の向上等を図るため、源泉徴収票や各種調書等の書類について、国税庁長官の権限で必要に応じて、所要の事項の付記・削除や用紙の大きさを変更できる規定を追加・創設する。税務代理権限証書も対象書類で、「所属税理士会等」欄の記載事項の簡素化も行うこととする。
また、マイナンバーを利用した税理士の登録事務及び税理士試験事務の利便性も図り、税理士名簿への登録事項にマイナンバーを追加するが、登録時の添付書類(戸籍抄本及び住民票)や都道府県名以外の本籍記載を不要とする。税理士試験では、オンライン申請に対応したペイジーによるオンライン納付手続を可能とする。
適用開始がまだ先となる措置が多いが、令和6年も税を取り巻くデジタル化の進展はさらに加速することとなろう。