▼主な内容
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▽インタビュー(小山太郎名古屋西税務署長)
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▽税理士ができる伴走支援のススメ
(中小企業診断士 落藤伸夫)
▽国税当局が進める加算税の強化とそのねらい(下)
(税理士 松崎啓介)
▽今後の資金調達環境で中小企業が生き残る方法(終)
(中小企業診断士 落藤伸夫)
▽税理士が社長の経営参謀として活躍する方法
(公認会計士・税理士 柴山政行)
▽類似業種比準価額計算上の業種目別株価表
(令和5年11月・12月分)
▽ティータイム
賃上げ税制新設要件のくるみん・えるぼしとは
令和6年度税制改正大綱では、赤字等の中小企業も含めて構造的かつ持続的な賃上げを実現するため賃上げ促進税制の強化が盛り込まれた。子育てとの両立と女性活躍を支援する税額控除率上乗せ措置が新設されるが、その要件となる厚生労働省所管の認定制度「くるみん」、「えるぼし」とはどういったものなのか。
くるみんは次世代育成支援対策推進法に基づき「子育てサポート企業」として、えるぼしは女性活躍推進法に基づき「女性が活躍している企業」として国が認定する制度。賃上げ促進税制の上乗せ措置のほか助成金給付や低利融資等の優遇措置に加えて、認定マークを商品や名刺に付すことができ企業イメージの向上に繋がるPRも行うことができる。
両認定制度とも、「一般事業主行動計画」の策定・届出を実施した事業主のうち、取組状況が優良であるなどの要件を満たす企業が都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請することで認定を受けられる。一般事業主行動計画は、事業主が女性の活躍や仕事と子育ての両立を図るための整備等に取り組むに当たり、自社の現状や課題を把握・分析し、計画期間や目標、目標達成への対策内容と実施時期を具体的に盛り込み策定するもの。常時雇用する従業員が101人以上の企業は策定・届出・外部への公表・労働者への周知が義務付けられ、100人以下の企業は努力義務とされている。
高い水準の取組みを行うことでランクが変わり、くるみんとプラチナくるみん、えるぼしは1〜3段階目とプラチナえるぼしがある。
まず、くるみん認定では、行動計画の計画期間を2年以上5年以下とし、その期間内に男性労働者の育児休業等取得率が10%以上、女性労働者の育児休業等取得率が75%以上で、厚生労働省ウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していることなど、10項目の認定基準を全て満たさなければならない。プラチナくるみん認定は、くるみん認定を受けた上で、男性労働者の育児休業等取得率が30%以上であるなど12項目の基準を満たし、毎年1回は実施状況を公表する必要がある。
えるぼしは、①採用(男女別の採用における競争倍率が同程度等)、②継続就業(「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ7割以上等)、③労働時間等の働き方(雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満)、④管理職比率(直近の事業年度で管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上等)、⑤多様なキャリアコース(直近3事業年度に女性の非正社員から正社員への転換等)の5つの基準のうち、中小企業向け賃上げ促進税制の上乗せ要件となる2段階目以上となるには、3つ以上の基準を満たし厚労省ウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」に実績を公表することが必要。全ての基準を満たし行動計画の目標を達成等すればプラチナえるぼしに認定される。
認定企業には税理士法人も数社あり、子育て世代と女性が働きやすい職場環境整備は業種・規模を問わず今求められている。