国税庁はこのほど、ホームページに掲載しているインボイス制度に関して多く寄せられるご質問に、「問㉓金融機関の入出金手数料や振込手数料に係る適格請求書の保存方法」と「問㉔消費者に限定した取引についての適格請求書の交付義務」の2問を追加した。
 このうち問㉓では、金融機関の窓口又はオンラインで決済を行った際の金融機関の入出金手数料や振込手数料についての取扱いを説明。
 入出金・振込手数料について仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として適格簡易請求書(簡易インボイス)と一定の事項が記載された帳簿の保存が必要とされている。
 しかし、金融機関での入出金や振込みが多頻度にわたるなどの事情により、全ての入出金・振込手数料に係る簡易インボイスの保存が困難な時は、金融機関ごとに発行を受けた通帳や個々の課税資産の譲渡等(入出金・振込サービス)の取引年月日や対価の額が判明する入出金明細等と、金融機関が発行する任意の一取引に係る簡易インボイスを併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えないとしている。この場合、金融機関がインボイス発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、一回のみ簡易インボイスを取得・保存すればよい。
 なお、基準期間(個人事業者はその年の前々年、事業年度が1年の法人はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1億円以下であるなど一定規模以下の事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う税込1万円未満の課税仕入れについては、インボイスの保存がない場合でも、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる少額特例が設けられているので、上記の対応は必要ない。
 インターネットバンキングなど、オンラインで振込みを行った際の手数料等について、電子データで簡易インボイスが提供される場合は、その電子データをダウンロードする必要がある。ただし、同種の手数料等を繰り返し支払っているような場合、その手数料等の簡易インボイスに係る電子データが、インターネットバンキング上でいつでも確認可能な状態であることなど一定の要件を満たせば、簡易インボイスに係る電子データをダウンロードしなくても、仕入税額控除が受けられる。
 また、入出金・振込サービスが金融機関のATMで行われる場合は、3万円未満のものであれば、自動販売機特例の対象となり、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となる。